ふたつのインフレ

vol.204 - 2024.5.26

先日、

比較的若い製造業の会社経営者と会食したときに、

話題に上がったインフレと円安についての考え方が面白かったので書いてみます。

 

ここ最近は世界的にインフレが襲っていて、日本でも物価上昇が続いています。

私達の店舗でも、油脂や輸入商材等2~3年前と比べると仕入れ値が3倍程に跳ね上がっているものもありますね。

その大きな要因のベースは、

コロナ禍で工場の生産がストップしたり、流通が滞ったりしたことで世界的に物資の供給量が減ったことと

ロシアとウクライナの戦争が長引いている事による、

原油などのエネルギーと食料や原材料の価格が上昇したことです。

単純に言えば、

原材料や資源を供給する企業が

価格を引き上げざるを得ない事によって物価が上がるコストプッシュ型のインフレが起きたわけです。

 

いま日本の通貨は円安ですが、

これは他国の通貨と比べて割安という意味を持ちます。

例えばアメリカ製や欧州製の車を買うよりトヨタのレクサス買った方が割安だよね、と人気になります。

円高だと、中国や韓国から買った方が安いからそっちにしようとなります。

でも円安だと日本の方が品質も含めて考えたら日本から買った方がいいよね、となります。

インバウンドもそうです。

本来ならば外国で使われるはずだったお金が日本に来てお金を使ってくれるので、

外食産業やホテル業や観光業が潤います。

今春に欧州のホテルチェーンが日本に20棟ものホテル建設を発表しました。

これにより建設業が潤いますね。

世界のITを引っ張っているGoogleやamazon・Microsoftが、

日本人は真面目に働くし他の国と比べても政治的な不安はないという理由で

4兆円規模の投資を決めたそうです。

これらによってインフレのカタチがどう変わるかというと、

様々な需要が高まって物価が上昇する需要拡大型インフレになっていくんですね。

景気の拡大によって購買意欲があがって高くても欲しいという需要が増えれば、

会社も含めた生産者は価格を上げることができて

売上と利益の拡大が期待できます。

それによって、

生産の増加や新たな設備投資など企業活動が活発化して、そこに働く従業員の賃金上昇も期待されます。

賃金上昇が広がれば、さらに消費が拡大するという好循環が生まれまれるわけですね。

 

世の中がこれからどう変化していくのか、

ふたつのインフレがあるという理屈を理解することで

リアルに理解できますね。